
片持ち梁(かたもちばり)のたわみとは、一端が固定されもう一端が自由な梁が荷重を受けたときに生じる変位のことです。
バルコニー・庇(ひさし)・キャンティレバー構造など、建築設計で頻繁に登場する重要テーマです。
AutoCADで設計図を作成する際も、片持ち梁のたわみ量を正確に把握することが必要です。
片持ち梁のたわみ計算式
先端集中荷重の場合
δmax = PL³ / (3EI)
最大たわみは自由端(先端)に生じます。
等分布荷重の場合
δmax = wL⁴ / (8EI)
中間集中荷重(固定端からa、自由端からb)の場合
δmax(先端)= Pa²(3L-a) / (6EI)
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| δmax | 最大たわみ(先端) | mm |
| P | 集中荷重 | N |
| w | 等分布荷重 | N/mm |
| L | 片持ち長さ(スパン) | mm |
| E | ヤング係数 | N/mm² |
| I | 断面二次モーメント | mm⁴ |
計算例
鉄骨片持ち梁(先端集中荷重)の例
- スパン L = 2,000mm
- 先端荷重 P = 10,000N(10kN)
- H形鋼 H-200×100×5.5×8(I ≒ 1,810×10⁴ mm⁴)
- 鋼のヤング係数 E = 205,000 N/mm²
δmax = 10,000 × 2,000³ / (3 × 205,000 × 1,810×10⁴)
= 8×10¹⁰ / (1.113×10¹³) ≒ 7.2mm
たわみ制限 L/250 = 2,000/250 = 8.0mm → OK(7.2mm < 8.0mm)
片持ち梁のたわみ制限値
| 用途・条件 | たわみ制限(目安) |
|---|---|
| 一般の片持ち梁 | L/250 以下 |
| 仕上げ材が敏感な場合 | L/350 以下 |
| バルコニー・庇 | L/150〜L/250 |
片持ち梁のたわみを減らす方法
- 梁せいを大きくする:Iは梁せいの3乗に比例するため最も効果が高い
- 片持ち長さを短くする:Lの3乗・4乗でたわみが増えるため、スパン短縮が最も効果的
- 固定端の剛性を高める:根本部分のモーメント抵抗を十分に確保する
- 先端に支柱や吊り材を設ける:構造形式を変えてたわみを制御する
AutoCADで片持ち梁の設計図を描くポイント
- スパン寸法の明示:片持ち長さ(固定端〜先端)を寸法線で明示する
- 断面リストの記入:たわみ検討で決定した梁断面(H形鋼・RC断面など)を断面リストに記入
- 固定端の接合部詳細:固定端の溶接・ボルト接合の詳細を断面図で描く
- むくり(キャンバー)の指示:たわみが大きい場合はむくり量を図面に記入する(例:「キャンバー5mm」)
- 荷重の記入:先端荷重・分布荷重を図面上に矢印と数値で示す
まとめ
片持ち梁のたわみは、先端集中荷重の場合δ=PL³/3EI、等分布荷重の場合δ=wL⁴/8EIで計算します。一般的な制限値はL/250以下です。
たわみを減らすには梁せいを大きくすることが最も効果的です。
AutoCADで片持ち梁の設計図を作成する際は、スパン・断面・固定端の接合部・むくり量を正確に記入することが安全な建築の実現につながります。
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